プリント基板技術者のつぶやき

GND関係

コンデンサの機能とノイズ対策

ノイズ対策で重要な役割をする部品の一つにコンデンサがあります。コンデンサの機能とそれがどうノイズ対策に活用されるのかを解説します。

1. 3つの機能

コンデンサの機能は3つあります。この機能を理解するとノイズ対策が楽になります。

・バックアップ機能
コンデンサに溜まった電荷を補充することで電圧を一定に保つ

・デカップリング機能
コンデンサに充放電することで、交流成分を減衰させる

・カップリング機能
コンデンサの電極に電圧をかけることで、交流成分のみ伝え直流成分をカットする。

【コンデンサ機能による波形への影響】 

2. 機能と用途

コンデンサの用途によって重視される機能が異なります。重視される機能を理解すると用途に合わせたコンデンサを選択しやすくなります。

・バイパスコンデンサ(パスコン)

バックアップ機能とデカップリング機能が重視されます。デバイス(負荷)が動作すると電流が流れます。
すると電源の電荷が不足し、デバイス電源ピン付近で電圧ドロップが発生します。この電圧ドロップを補うためにバックアップ機能を使います。
 
全ての電子デバイスはスイッチ(トランジスタなど)の塊であり、スイッチが動作する際にスイッチの変化スピードを基本周波数する高調波ノイズが発生します。高調波ノイズが周辺回路に影響しない様にデカップリング機能を使います。

・カップリングコンデンサ

2つの電源系統で信号をやり取りする際に、DC成分をカットしてアイソレーションします。カップリング機能を使用しています。

カップリングコンデンサがノイズ対策にどう貢献するかについて補足します。

◎異なる電源間を跨ぐ際に信号線のノイズをキャンセルする多くのシステムは複数の電源を持っています。2電源を跨ぐ信号は、送信側と受信側の電源電圧が全く同じで、且つグランドの電圧降下もほぼ無しにすることはほぼ不可能です。DC成分キャンセルすることで信号線に電源間の段差が移ることを防ぎます。

◎異なる電源間のノイズが結び付くのを防ぐバイパスコンデンサ説明した様に、電子デバイスが動作すると絶え間なく電圧ドロップと高調波ノイズが発生します。これらのノイズをバイパスコンデンサが軽減しますが、完全に無くせる訳では無く、電圧ドロップは消費された電荷を電源が補充して初めて解消されます。

異なる電源間を通信する信号線の全てグランドを共通化してしまうと、電圧ドロップや高調波ノイズが合わさってしまいます。また、悪いことにノイズ成分は1+1=2でな無く、共通インピーダンスや共振で1+1=4に成ってしまいます。カップリングコンデンサを上手く使えばノイズの合流を防ぐことが出来ます。

3. 機能と特性

コンデンサには様々な種類がありますが、3つの機能を如何にして強化するか思考錯誤が繰り返された結果です。コンデンサの特性パタメータと機能の関係ついて少し触れます。

・容量

同じ種類・構造のコンデンサなら容量が大きいほどバックアップ機能が高くなります。デカップリング機能を活かしフィルタを構成する際には、フィルタの時定数に合わせて調整が必要になります。デカップリング機能,カップリング機能に共通しているのは、容量に比例した遅延回路であることに注意が必要です。また、周波数によって通過する際の遅延が異なります。

・等価直列抵抗(ESR)

実際のコンデンサを等価回路に分解すると、直列にR-L-Cの回路で表現されます。等価直列抵抗(ESR)は等価回路のR成分です。コンデンサは2つの電極間で、電荷を引き付け若しくは反発しあって電荷が移動します。移動時のストレス(抵抗)がESRです。従って、ESRが大きいと容量大きくてもバックアップ機能が強化されません。実際のコンデンサでは、電極間の距離を取り耐圧を高めるとESRは自然と高くなります。

・等価直列インダクタンス (ESL)

等価回路のL成分です。  ESRが直流成分のストレスに対して、等価直列インダクタンス (ESL)は交流成分のストレス(インダクタンス)です。ESLが大きいと、デカップリング機能が阻害されます。ESLによる影響は高い周波数ほど大きくなります。 ESLはコンデンサの電極が持つL成分に関係し、大型コンデンサは自然とESLが高くなり、容量に見合ったデカップリング能力は期待出来なくなります。

今回は概要のみを説明させて頂きました。本ホームページでも今後関連する内容を掲載させて頂く予定でおります。

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