基板設計において、GND(グランド)設計はノイズ対策の要と言っても過言ではありません。
しかし、実際にノイズに強いGND設計を実現するためのポイントが十分に理解されていないケースも少なくありません。
例えば、GNDを分離した場合の接続点、両面基板におけるGNDの取り扱いなど、
基板設計においてGNDに関する悩みは尽きないものです。
これらのGND設計のポイントを適切に把握できていないと、
「リターンパスの不安定化による品質低下」や
「GNDプレーンの分断による意図しないノイズの発生」
といった問題を引き起こす可能性があります。
そこで本稿では、「GND設計でノイズに強い基板を実現するためのポイント」と題し、
基板設計者が押さえるべき重要なポイントとその具体的な対策について解説いたします。
ポイント①:リターン電流経路を確保するGND設計
ノイズ対策の基本は、信号が流れる経路と、
それに対応するリターン電流の経路を確実に確保することです。
特に2層基板においては、内層にGNDプレーンがないため、
リターンパスの確保は4層基板以上に重要となります。
2層基板では、反対面のGNDベタ領域を十分に確保できない場合、
リターン電流が最短経路を通らず迂回し、周囲のノイズを拾いやすくなります。
この課題への対策として、信号配線の直下(反対面)に同じ経路でGND配線を配置することが有効です。
このGND配線がリターンパスとなり、ノイズ抑制に貢献します。
ただし、2層基板ではスペースの制約から十分なGND面積を確保できない、
あるいは他のパターンとの干渉によりリターンパスの確保が困難になることがあります。
また、部品点数が多く配線密度が高い場合、信号パターンが基板端に近づき、
新たなノイズ問題を引き起こす可能性も考慮する必要があります。
したがって、重要な信号パターンとそのリターンパスとなるGNDをセットで
優先的に検討・配置するという考え方が重要になります。
これを考慮せずに配線を進めてしまうと、手戻りが発生する可能性が高まります。
加えて、配線は可能な限り太く、短く設計することで、
インピーダンスを低減し、ノイズに強い基板製作が可能になります。
ポイント②:GND分離と一点アースの最適化
ノイズ対策として、電源GNDと制御GNDを分離することは一般的な手法です。
しかし、適切に分離されていなかったり、
分離後の接続点(一点アース)の位置によって回路性能が大きく左右されることがあります。
一般的な実装例として、基板への電源入力部に配置された電解コンデンサのマイナス端子付近でGNDを分離し、
必要に応じて一点で接続するケースが多く見られます。
前述の通り、この一点アースの接続位置は基板全体のノイズ特性に大きな影響を与えるため、
慎重な決定が求められます。
効果的な対策として、あらかじめ一点アースを接続するためのパッドを基板上の複数個所に設けておき、
そこに0Ωの抵抗などのジャンパー部品を実装して、
実際のノイズ特性を評価・確認した後に最適な接続点を選択する方法が推奨されます。
ポイント③:パスコン配置とGND配線の最適化
パスコン(バイパスコンデンサ)は、電源ラインのノイズを除去するために不可欠な部品ですが、
そのGND側の配線も重要な考慮事項です。
GNDは回路の基準電位であるため、
パスコンは電源ラインとGND間に配置し、
GND側の配線は可能な限り短く、低インピーダンスでGNDに接続することが理想的です。
特に、電源ICの近傍に配置するパスコンは、電源端子とGND端子間の最短距離接続が基本となりますが、
GNDライン全体のインピーダンスを下げるためには、
パスコンのGND側をGNDパターンやGNDプレーンに接続することも有効です。
これにより、GNDラインを介したノイズの回り込みを抑制し、
回路全体の安定性を向上させることができます。
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いかがでしたでしょうか。
今回は、GND設計を通じてノイズに強い基板を実現するための重要なポイントをご紹介しました。
繰り返しになりますが、ノイズに強い基板製作には、適切なGND設計が不可欠です。
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