プリント基板技術者のつぶやき

基板関係

多層基板の種類と特徴

プリント基板の構造では、1.片面基板、2.両面基板、3.多層基板の構造をご紹介しましたが、今回は多層基板の種類と特徴について解説いたします。
 
多層基板とは絶縁板の外部と内部にもパターンを形成した基板で、導体層が3層以上ある基板になります。絶縁層と導体層を何層にも積み重ねて構成した基板です。両面板(2層板)では配線スペースが足りない場合、多層基板にして配線層を増やします。
 
 
多層基板には、主に以下の3つの種類があります。
①多層貫通基板
②IVH基板
③ビルドアップ基板
 
①多層貫通基板
多層貫通基板は、両面基板と同様に、スルーホールを使用して層間を接続します。スルーホールは、上層から下層まで貫通したもので、一般的なプリント基板で広く使用されています。銅箔厚や板厚、層数など、様々な仕様に対応できます。層数が複数あるため、2層基板では配線しきれない場合やグランドや電源の強化、インピーダンスコントロールによるノイズ低減を求められる基板に使用されます。
 
②IVH基板
IVH基板は、多層貫通基板とは異なり、必要な層間のみを接続するために、非貫通のビアを主に使用します。ビルドアップ基板とは異なり、層間接続のビアはドリルを使用して作成され、貫通穴以外のビアが存在する基板です。層間を接続するビアには3種類あり、表面から内部層までのビア、内部層だけを接続したビア、上層から下層まで貫通したスルーホールがあります。貫通しないビアを使用することで、配線数が多い基板や、制約の多い基板に適しています。
 
③ビルドアップ基板
ビルドアップ基板は、コア層と呼ばれる貫通基板に1層ずつ導体と絶縁層を積み上げて多層化した基板です。ビルドアップ層とコア層を接続するためには、ドリルではなくレーザーを使用します。レーザーはドリルと異なり、小さく穴を開けることができ、また1層だけで導通を行うことができます。ビアを小さくできるため、配線スペースをさらに広くすることができます。IVH基板同様に貫通しないビアが使用され、配線数が多く、制約の多い基板に使用されることが多く、また基板を小型化することも可能です。
 
 
多層基板は、グランドや電源の強化、インピーダンスコントロール、基板の小型化、ノイズ対策など、さまざまな仕様に対応することができます。よくある例としては下記のものがあります。
 
・2層基板では配線が困難だったため、4層基板に変更して進めた。
・ノイズの取れない2層基板を4層基板に変更し、グランドを強化したところ、
 ノイズがなくなった。
・パターン幅が確保できなかったため、層数を増やして対応した。
 
多層化することには、価格が上がる、製造が複雑になる、製作期間が長くなるなどのデメリットもあります。

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