プリント基板技術者のつぶやき

高速信号関係

エンファシス

超高速の信号になると伝送路の周波数特性影響によって大きな減衰をしてしまいます。

デジタル信号は「0」と「1」がありますが、データの状態によっては「0」や「1」が続いたり、「0」と「1」が交互になる場合があります。

超高速のビットレート信号でも「0」や「1」が続いた場合には、見かけ上は周波数が低い信号と同じなので信号の減衰は少なくなります。

「0」と「1」が交互に続く場合には、見かけの周波数が高く信号が減衰するので、信号振幅が小さくなってしまいます。

言い方を変えると、周波数特性による減衰で信号のエッジが鈍ってしまうため、0→1, 1→0 に信号が推移する時に、振幅最大になる前に次の変移が始まるために信号振幅が小さくなってしまうのです。

信号振幅が小さくなっていない部分の信号エッジと小さくなってしまった部分の信号エッジでは、信号軌跡が変わってしまうためにシンボル間干渉(ISI)ジッターとなって現れてしまいます。

これがアイパターンでの横方向(時間軸)のマージンを狭めてしまう大きな要因となります。

これらの対策として、あらかじめ信号成分に細工をする方法があり、高周波成分の信号部分を大きくして送信するものをプリエンファシス、低周波成分の振幅を削って送信するものをディエンファシスと言います。

ディエンファシスの方が電圧振幅が小さくなり、Gbpsレベル以上の伝送に適しています。

これらの方法でゼロクロスのブレ(ジッター)を小さくし、アイパターンの開口を確保して伝送特性を改善します。

これらシグナル・コンディショニング(信号調整)技術は、LVDS や CML などの高速差動伝送方式に盛んに利用されています。

次回は、集中定数、分布定数について

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