16:120Aを流す基板の設計編 (部品取り付け用パッドの応用設計) | ノイズ対策.com

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16:「120A」を流す基板の設計編 (部品取り付け用パッドの応用設計)


前回は部品選定に関する実際に起きたトラブルの例をご紹介しました。

 

内容は、基板メーカー推奨のL/Sの値より小さいサイズで

部品取り付け用パッドを設計してしまった結果、

製造された基板上では設計値よりパッドサイズが縮小してしまい、

この部品取り付け用パッドに塗るはんだの量などに悪影響が生じてしまい、

部品がはんだの上に乗り、部品が傾いてしまった事例でした。

 

今回は、このパッド縮小の対策方法についてご紹介したいと思います。

弊社では、通常部品取り付け用パッドのサイズに対して

片側0.1[mm]オフセットしてレジスト開口部を設置しています(図1参照)。

例えば、0.8[mm]×0.8[mm]のパッドのレジスト開口部は1.0[mm]×1.0[mm]となります。


図1_50.png

図1:普通の部品パッド設計例

 

パッドサイズよりレジスト開口部より大きいのでパターンの配線の引き出のやり方で

多少パッドのサイズが変形したりしますが、普通の基板では特に問題ありません。

 

図2の左側パッドの例はGNDベタ面で部品取り付け用パッド全体を埋めてしまった場合です。

 

この場合、もともと、0.8[mm]×0.8[mm]のサイズのパッドをベタ面で埋めてしまったので、

1.0[mm]×1.0[mm]のレジスト開口部のサイズまでパッドサイズが拡大されます。

 

右側のパッドの例はGNDベタ面にサーマル接続をした場合です。

 

上記の例のように部品取り付けパッドの配線の方法によって

若干パッドの形状が変化してしまいます。

 

※15回目でご紹介したトラブルはこの逆で銅箔の部分が縮小してしまった場合です。

 

図2_50.png

図2:部品パッドからの引き出し方法の違いによるパッド形状の変化

 

図3では、この性質を利用して銅箔部分を少し大きくして1.0[mm]×1.0[mm]で設計を行い、

レジスト開口部を逆に少し小さく0.8[mm]×0.8[mm]で設計した例です。

 

図3_50.png

図3:レジスト開口部でパッドサイズを設計する例

 

この方法でパッドの設計を行なうと、銅箔よりレジスト開口部が小さい為、

図2でご紹介したパッドからの配線の引き回し方によるパッドサイズの変化や

15回目でご紹介しましたパッドサイズの増減も多少吸収することが可能となり、

左右でのパッド形状の変化も軽減できます。

 

 

 




大電流関係



15:120Aを流す基板の設計編 (部品選定のトラブル事例) | ノイズ対策.com

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15:「120A」を流す基板の設計編 (部品選定のトラブル事例)

前回はこの300[um]や400[um]の外層の銅箔厚が

厚い基板の部品選定の注意点を説明しました。

 

今回は、前回説明した部品選定に関する

実際に起きたトラブルについてご紹介します。

 

15_45_b.png

基板メーカー推奨のパッドサイズより

小さなサイズで部品パッドを設計した結果、

製造された基板のパッドサイズは

実際の設計値より縮小してしまった為、

部品搭載位置やこのパッドに塗るはんだ量に悪影響が生じ部品が

傾くトラブルが発生しました。


基板メーカー推奨のL/Sの値より小さいサイズで部品取り付け用パッドを

設計してしまった結果、

製造された基板上では設計値よりパッドサイズが縮小してしまい

この部品取り付け用パッドに塗るはんだの量などに悪影響が生じてしまい、

部品がはんだの上に乗り、部品が傾いてしまった事例です。


この例は、外層銅箔厚70[um]の仕様で基板メーカーから推奨されていた

部品取り付け用パッドの最小サイズが0.65[mm]×0.65[mm]でした。


トラブルが発生した部品取り付け用パッドは部品製造メーカーの

部品カタログ内に記載されていたメーカー推奨パッドサイズで設計しました。


しかし、このメーカー推奨のパッドサイズが0.65[mm]×0.65[mm]より

小さなサイズであった為、基板メーカーの製造スペックの制約で

パッドが設計値より小さなサイズで出来上がってしました。

 

その為、パッドが設計値より小さくなってしまったので、

このパッドに塗るはんだの量が設計値より量が多くなってしまい、

結果として部品がはんだの上に乗って傾いてしまいました。


このようなトラブルを回避する為に基板設計を開始する前に

基板の仕様を確認する事が重要となります。

 

 




大電流関係


14:120Aを流す基板の設計編 (部品選定) | ノイズ対策.com

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14:「120A」を流す基板の設計編 (部品選定)

前回、120[A]の電流を流す経路の銅箔厚とパターン幅の関係を説明し

銅箔厚を300[um]または400[um]のどちらかで大電流基板を設計することにしました。

 

今回は、

この300[um]や400[um]の外層の銅箔厚が厚い基板の部品選定の注意点を説明します。

 

普通の銅箔厚【35[um]】のプリント基板では、

パターン幅=0.2[mm],パターン間隔0.2[mm]など

値が小さくても基板を製造することが可能です。

 

銅箔厚が厚くなると、基板のパターン幅とパターン間隔も

比例して大きくなることが一般的です。

 

今回の事例の300[um]や400[um]の厚銅場合のパターン幅と

パターン間隔の最小値はどうなるかというと下記のような値となります。

 

銅箔厚=300[um]:パターン幅=0.6[mm]/パターン間隔=0.6[mm]

銅箔厚=400[um]:パターン幅=0.8[mm]/パターン間隔=0.8[mm]

 

このパターン幅とパターン間隔の値と部品選定がどのような関係性があるかを

1005サイズのチップ部品と1608サイズのチップ部品を用いて紹介します。

 

まず、図1はアート電子で基板設計に使用している

1005サイズのチップ部品シンボルデータです。

 

1005チップ_70.png

    図1 :1005サイズのチップ部品のPAD寸法

 

チップ部品を搭載する取り付けPADのサイズは

0.6[mm]×0.6[mm]でPADとPADの間隔は0.4[mm]です。

 

普通の銅箔厚【35[um]】の基板なら何も問題無く使用可能な部品ですが、

銅箔厚=300[um],400[um]程度の銅箔厚まで厚くすると

この1005サイズのチップ部品が使えなくなってしまいます。

 

理由は銅箔厚=300[um]は最小のパターン幅とパターン間隔が0.6[mm]だからです。

 

PADのサイズは0.6[mm]×0.6[mm]で最小パターン幅ギリギリの値ですが、

パターン間隔【PADとPADの間の距離】が0.6[mm]を下回ってしまっているので

基板製造をすることが出来なくなってしまいます。

 

よって銅箔厚=300[um]の時のチップ部品で使用できる

最小サイズの部品は1608サイズの部品になります。

 

図2はアート電子で基板設計に使用している

1608サイズのチップ部品シンボルデータです。

 

 1608チップ_70.png

    図2:1608サイズのチップ部品のPAD寸法

 

チップ部品を搭載する取り付けPADのサイズは

0.7[mm]×0.8[mm]でPADとPADの間隔は0.8[mm]です。

 

1608サイズならパターン間隔【PADとPADの間の距離】が0.8[mm]なので

銅箔厚=300[um]の基板でも使用することが出来ます。

 

銅箔厚=400[um]の場合は更に大きい2012サイズの

チップ部品が最小サイズとなりそうです。

 

このように、使用する銅箔厚によって部品を搭載する取り付けPADの

サイズの大きさや間隔に制約が出て来るので今回の事例はチップ部品でしたが、

 

ICやFETによっては取り付けPADがこの制約の都合上作る事が出来ず

部品を基板に搭載出来なくなることがある為、部品を選ぶときには注意が必要となります。

 

次回からは銅箔厚=300[um]の事例に的を絞って話を進めたいと思います。

 




大電流関係


13:120Aを流す基板の設計(銅箔厚) | ノイズ対策.com

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13:「120A」を流す基板の設計(銅箔厚)

今回からは、実践編として基板のメインラインに120[A]を流す基板を

事例にとして大電流基板の設計に関してご紹介したいと思います。

 

今回の事例では下記のような基板仕様で

大電流基板の設計に関して説明をして行きます。

 

◆基板仕様

基板サイズ:120[mm]×120[mm]

基板の四隅にネジ穴を設置

 

大電流基板の設計で最初に確認しなければならい項目は基板の層構成です。

一般的に普通のプリント基板の銅箔厚が35[um]のパターンには

パターン幅1[mm]に1[A]程度流せるという考え方がありますが、

この普通の基板で120[A]が流せる経路を設計しようとすると

単純にパターン幅が120[mm]必要となり、いきなり予定していた

基板サイズ120[mm]×120[mm]からはみ出てしまいます。

 

銅箔厚を2倍の70[um]に変更した場合は、

パターン幅1[mm]に流せる電流量も2倍となる為、

パターン幅が60[mm]まで縮小させることが出来ます。



銅箔厚=35[um]_540.png
図1 銅箔厚=35[um]の場合


銅箔厚=70[um]_540.png
図2 銅箔厚=70[um]の場合


しかし、いくらパターン幅を縮小したからといっても

普通の基板では、このままでは、パターンを引けても

電流経路パターン以外の構成要素(部品やその他の信号線)を

全てこの120[mm]×120[mm]の枠の中に詰め込むことは困難だと思います。

 

多層基板にして各層に大電流経路分散させる方法もありますが、

パターン幅自体は更に縮小出来ますが、無駄な配線経路と

層間接続用のビアが増えてしまうという問題も生じます。

 

ここで銅箔厚を厚銅基板と呼ばれる基板の銅箔厚へ変更してみます。

今回は銅箔厚300[um]と銅箔厚400[um]の2種類を事例に挙げたいと思います。

 

銅箔厚が300[um]の場合はパターン幅1[mm]に10[A]程度流せます。

なので、パターン幅は12[mm]確保できればOKとなります。

 

一方、銅箔厚が400[um]の場合はパターン幅1[mm]に12[A]程度流せます。

なので、パターン幅は10[mm]確保できればOKとなります。



銅箔厚=300[um]_540.png
図3 銅箔厚=300[um]の場合


銅箔厚=400[um]_540.png
図4 銅箔厚=400[um]の場合



銅箔厚を300[um],400[um]のどちらかを設定すれば、

120[mm]×120[mm]サイズの枠の中で部品配置や

他パターンを配線出来そうなイメージが出てきました。

 

今回は銅箔厚を300[um],400[um]のどちらかに設定して

次回以降のお話を進めて行きたいと思います。




大電流関係


12:大電流基板のまとめA | ノイズ対策.com

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12: 大電流基板のまとめA


これまで大電流基板のコラムとして、大電流基板の設計のポイントを

メインにご紹介させて頂きましたが、大電流基板の構成をする上では、

部品の選定、発熱部品の放熱対策、基板の材質、銅箔厚、層構成などを

回路の電流値など仕様にあったものを選択する必要があります。

 

また、基板の材質や銅箔厚の設定によっては基板の納期が

普通の基板よりも長くなる傾向があるので注意が必要です。

 

そのため、大電流基板を製作する場合は、

回路設計部門、基板設計部門、基板製造部門、部品実装部門の

コミュニケーションが大切だと思います。

 

上記4部門の連携が上手く出来ないと、例えば基板設計段階で

基板の面積(サイズ)の再検討や部品サイズの再検討などの

本来想定していなかった作業が発生する場合があります。

 

大電流基板を設計する上では様々な視点から

基板の構成を検討することが大切になってきます。





大電流関係


11:大電流基板のまとめ@ | ノイズ対策.com

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11: 大電流基板のまとめ@


大電流基板の設計のコラムとして、
第1回〜第10回まで分けて大電流基板の設計のポイントを
ご紹介して来ました。

大電流を流す基板を設計する場合には、
様々な視点から基板の材質や層構成を選定することや
基板製造工場の製造スペックと部品を取り付ける為のPADサイズを
考慮した部品選定を行った上で基板の部品配置やパターン配線を
行う事が大切になってきます。

また、大電流経路を複数の層に分割した場合、
分割した大電流経路の合流地点にはスルーホールを沢山打つ必要が
出てきますので、大電流経路は出来るだけ単層のみで完結させることが
望ましいです。

また、大電流を流す基板の中には発熱部品を使用することも
多いと思いますので、その部品の放熱対策も行う必要が出て来ます。

このように大電流を流す基板では、
普通の基板を設計する時と同じ段取りで設計をしてしまうと、
修正工数など発生する可能性があるので注意が必要です。



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10: 放熱対策について | ノイズ対策.com

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10: 放熱対策について

前回までは、
電流値に対するパターン幅や銅箔厚の設定方法に関して
ご説明してきました。

今回は少し話を変えて、
銅箔厚、パターン幅以外で大電流基板の設計で
気をつけなければいけない事をご紹介したいと思います。

大電流基板の中には発熱部品が搭載されるケースがあります。

このような発熱部品には放熱対策を行った方が良いとされています。

放熱対策とは、
部品直下に放熱用のパターンやスルーホールを設置する方法や、
部品に直接ヒートシンクを取り付ける方法などがあります。

また、放熱最優先とする場合は、
基板の仕様を銅コア基板、アルミ基板などに変更する方法もあります。

今回、簡単にご紹介したように放熱対策には様々な対策方法があるので、
基板のサイズ、基板を収める筐体、製造コストまた、
放熱対策の優先度などから最適な放熱対策を基板に施すことが
必要となるかと思います。



大電流関係


9:機能の異なるブロックを分割する方法 | ノイズ対策.com

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9:機能の異なるブロックを分割する方法

前回は、
大電流銅箔層(厚銅の層)を基板の内層に設定する方法をご紹介しました。

今回は、
大電流が流れる基板と電流を制御する基板を分離して
2枚構成とする方法についてご紹介をしたいと思います。

この方法は大電流が流れる部分と、大電流を制御する部分を
別々に分離して2種類(大電流部の基板と制御部の基板)の基板の
設計を行います。

この方法のメリットは、
大電流部と制御部が分離出来るので、

 @普通の銅箔厚の基板で使う部品の足の間隔の狭い部品が使えること、
 Aパターン幅設計のミスの発生を防ぐこと
  (前回ご紹介した内層と外層の銅箔厚の違いよるパターン幅差異を防ぐ)

が出来ます。

また、
場合によっては基板の省スペース、コスト削減が出来ることもあります。

このように大電流基板を設計する際には、
確保可能な基板サイズや使用する部品の仕様によっては、
基板を分離した方がメリットを発生させることが出来る場合があります。



大電流関係


8:基板構成を変える方法 | ノイズ対策.com

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8:基板構成を変える方法

前回は、
【銅箔厚を厚くする】方法のデメリットと対策法として
下記の例をご紹介しました。

 1.大電流銅箔層(厚銅の層)を基板の内層に設定する方法。
 2.大電流が流れる基板と電流を制御する基板を分離して
   2枚構成とする方法。


この対策方法の
”大電流銅箔層(厚銅の層)を基板の内層に設定する方法”では、
少し注意が必要となるので今回はその補足をしたいと思います。

”大電流銅箔層(厚銅の層)を基板の内層に設定する方法”では、
内層の銅箔厚と外層の銅箔厚が異なるので、
大電流経路を外層に配線する場合は注意が必要です。

例えば、
外層銅箔厚=35[um],内層銅箔厚=300[um]で基板を構成した場合、
10[A]流す経路を設計した時の外層と内層で必要なパターン幅は
それぞれ、外層=10[mm],内層=1[mm]となります。

この層構成で大電流経路を配線すれば省スペース化の基板設計が
出来ますが、基板の配線状況によっては大電流経路を外層へ
配線しなければ配線が困難になる場合があると思います。

この時に大電流経路に必要な内層と外層のパターン幅が違うので
内層の大電流経路に必要な幅(1[mm])と同じ幅で配線をしてしまうと、
外層では10[A]流すのにパターン幅は10[mm]必要なところを
内層と同じパターン幅1[mm]で配線してしまうと電流量に対して
パターン幅は1/10となっているので、非常に危険です。

パターンが焼ききれるトラブルや、
最悪の場合基板が発火する可能性もあります。


今回ご紹介したように
”大電流銅箔層(厚銅の層)を基板の内層に設定する方法”では、
少し注意して設計を行わないと大きなトラブルを招く可能性があります。



大電流関係


7:銅箔厚を厚くする方法B | ノイズ対策.com

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7:銅箔厚を厚くする方法B

前回は、
大電流基板を設計するポイントとして
【銅箔厚を厚くする】方法のデメリットをご紹介しました。

今回は、
【銅箔厚を厚くする】方法のデメリットの対策法の例をご紹介します。

前回大電流基板の例として”銅箔厚さ300[um]の基板では、
L/S=0.6[mm]/0.6[mm]まで大きくなってしまうことを挙げました。

L/S=0.6[mm]/0.6[mm]の影響で部品取り付けPADの間隔が
0.6[mm]以下やPADの大きさが0.6[mm]×0.6[mm]以下のものは
基板に搭載が不可能になってしまう事もご紹介しました。

しかし、基板の用途によっては、
電流を制御するPADの間隔が狭いマイコンが必要など
L/S=0.6[mm]/0.6[mm]以下の部品取り付けPADが必要な部品を
選定しなければいけないケースが多々あると思います。

これらの対策として考えられることは下記のような対策があります。

 1.大電流銅箔層(厚銅の層)を基板の内層に設定する方法。
 2.大電流が流れる基板と電流を制御する基板を分離して2枚構成とする方法。

今回挙げた対策方法に関しては
次回以降このコラムで簡単にご説明したいと思います。



大電流関係


saishin.gifkiso.gif
01.gifVカットと部品の位置の位置関係に注意する01.gifノイズとは
02.gifミシン目と部品の位置関係に注意する02.gifノイズ対策の方法
03.gif基板認識マークを非対称に配置する03.gifプリント基板の設計段階から行うノイズ対策
 

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